「弁護士」として一人前になるにはどれくらいの期間が必要ですか?また事務所に入所する前に勉強しておいた方がいいことなどありますか?

弁護士になるまでの過程については、ご存じの方も多いと思うのですが、今の制度ですと、法科大学院を経て司法試験を受け、司法研修所に入ります。

ここまでで3年はかかりますが、法曹資格を取れる状態になりますね。

そこから弁護士らしくなるには時間が必要になりますので、やはり4~5年はかかると思った方がいいですね。

ただ資格を取ってから弁護士会に登録したら、その日から一人前なんですよね。

資格をもっていると、経験の有無にかかわらず、弁護士の先生だと思ってしまいますよね

そういうことになりますよね。

形の上では一人前なのですが、その人が仕事をできるかということになれば、やっぱり4~5年は経験を積まなければ、それらしくならないと思います。

書類を作るだけであれば、1~2年でできることでしょうけども、交渉能力ですとか、その先の段階に進まなければ一人前にはなりません。

やはり経験が大事だということですね

そうですね。

一番初めに案件を受け持つ際は、まず事務所に入所してから案件を受け持って、経験を積まれていくというのが通常の流れなのでしょうか?

そうですね。

通常は「ボス弁」と言われるところの事務所の先生と一緒に担当したり、あるいはその先生からもらった事件で、訴状とか通知書を相手方に出したり、依頼人の趣旨に沿った書面を作るというようなところからやっていきます。

どのような案件を中心に取り扱っているのですか

私の所属している事務所では、企業の人事総務関係の部門から来る、企業と従業員との間で生じた問題です。それの相談と、それが具体的な裁判になっているのであればそれに対する対応ですね。

ただ、個人ではどのような案件も受けておりますので、リフォームや貸切、相続に関わるような問題の相談も受け付けています。

弁護士として働く魅力について教えてください

困っている依頼者の方の悩みごとに対して対応し、結果としてその人に対して満足してもらえるようにすることです。

案件が終わった後、依頼者の方から感謝の言葉をもらった時は、本当に嬉しいものです。

さらに大きく言えば、結果によって社会的な紛争を1つ無くしていけるということであれば、それは社会的な貢献にもなります。

そこが、弁護士として働く魅力ですね。

実際に活躍されている「弁護士」は、どのような能力が高いと感じますか?また、どのような人柄の方が多いか教えてください

やはり人間として魅力がある方ですね。

人を引き付けるカリスマ性がある人の方が弁護士として上手くやっていけると思いますし、活躍できると思います。

そういうところがあるので、言葉に説得力や信頼性があるという人の方が、やはり能力の高いのかなと思います。

もちろんよく勉強されていて、新しいことも含めて知識を実践している弁護士も活躍されています。

やはり法律をただ助言しているだけでは意味がないので、その専門知識を応用し、上手く活かせる能力が必要ですね。

温かみがあって話やすい先生がよく相談されているイメージがあるのですが、そうしたところも必要であったりするのでしょうか?

そこは断言できません。

例えば、昔の法律事務所は敷居が高かったですし、お偉い先生であれば、怖くて話づらいという方が多かったようです。

多分今の時代はそういう感じではないと思いますが、時代の流れでその辺りは変わってきていると思います。

弁護士という仕事について、自身が成長したと感じるエピソードなどありましたら教えてください

成長するうえで大切なのは、実際に仕事をしていきながら覚えていく“ジョブトレーニング”です。

実際に案件を解決してくことで、その経験を自身の中で蓄積していきます。

特に上手くいかずに、失敗した時の経験は、大きな成長に繋がると感じており、「何故、この事件はうまくいかなかったのか」「他の言い方をしておけばよかったかな」など、反省して足りなかったところを補えるようにしていくことが大切なのだろうなと思います。

弁護士になりたての頃、学んだこと、受講した研修などありましたら教えてください

学んだことで言えば、弁護士というのは依頼者の気持ちを、きちんと聞かなければ仕事ができないということと、それを形にするためには、自分で色々と証拠を探さなければいけないので、率先して動かなければいけないんだな、ということを学びました。

受講したことについては、弁護士会がよく研修を開いており、初任の弁護士は、一年間専用の講座を受ける必要があります。

他の弁護士にも研修が用意されていて、例えば労働事件などもありますし、債務整理、債務者の対応などについての講座、夏になると合同研修、今であれば色んな民法含めて法改正についての研修などもありますから、弁護士である限り受講していきます。

やはり弁護士会が開いていますから、教える側の弁護士の経験を踏まえて話をしてくれたり、裁判所の裁判官が来て、裁判の時にちゃんとやるためには、こうしてほしいということを言われますから、研修は非常に役に立ちます。

あとは今お話しした通り、法改正など色んなことについて学ばなければならないので、生涯弁護士である限り、こうした研修は機会を捉えて参加して、身に付けなければいけないと思います。

では弁護士になりたての頃は受講が必須で、その後はご自身で受講するという形なのでしょうか?

そうですね。

ただ、仕事にかまけていると、だんだんと勉強しなくなるので注意が必要です。

本も色々と出されているのですが、あまり新しいものを見ようとしないと、いざ依頼者に質問された時に答えられず、相談に来られた方の信頼を得られないということにもなりかねませんから。

弁護士という仕事は常に気を張り詰めているかと思いますが、休日はどのように過ごされていますか?

私の場合、休日には完全に仕事から離れるようにしています。

例えば旅行であっても、映画を見に行く場合であってもそうですね。

オンオフの切り替えはしっかりしています。

これまで弁護士という仕事に従事していて、この仕事に一番大切な事はどのような事だと思われますか?

誠実かつ丁寧に、事件を処理することだと思います。

事件を解決するためには、事件の何が問題なのかということをきちっと把握することが大切です。

的外れなことをやっていれば、上手くいかないですよね。

ですから、事件を分析すると同時にそれを構成していく力というものが必要なのだと思います。

最後に、これから弁護士を目指す方へメッセージをお願いします

あまり法律に関する勉強の虫にならずに、できるだけ数学の勉強や、社会的に幅広い経験をしてほしいですね。

これは弁護士会から依頼がくる社会科見学で中高生相手に私がよくする話なのですが、将来弁護士になりたいのであれば、六法全書(現行成文法中の六法(憲法・民法・商法・民事訴訟法・刑法・刑事訴訟法)などの主な法令を収録した書籍のこと)の情報をいきなり覚える必要はなく、それ以前に自分たちのやっている数学の勉強や、社会に関する色々な経験をするように言っています。

何故かというと、数学がちゃんとできれば、弁護士に必要な“事件を分析すると同時にそれを構成していく力”の基礎ができあがりますし、勉強に捉われすぎてもだめなので、社会にはどういうものがあるのだろうかということを考え、趣味でも部活でも色々な経験をすれば、弁護士になってからも役に立ちます。

ですから、これから弁護士を目指す方には“数学の勉強や、社会的に幅広い経験をしてほしい”ということを伝えていますね。